<立体・映像・本・版画によるインスタレーションの世界>

山本豊子・展

―起源の運搬―

2004.4.10(SAT)−25(SUN)
AM10:30-PM7:00(火曜休廊)

山本豊子 1995〜2004

この度、かねてより開催実現を熱望しておりました、山本豊子による個展を開催致します。

山本豊子は1995年から精力的に平面・立体作品の制作を続けてきました。
銅版画を中心とする平面作品に紙を版とするコラグラフ(紙版画)が加ったことで、より制作時の躍動感と質感が伝わる作品へと変化をとげていきました。

1999年舞台美術制作時に出会った枕木を素材とした作品では、コラグラフの版を枕木に埋め込んだり、枕木の椅子や机の制作をするなど版画と立体を融合させた作品へと展開します。

2001年から始まる『運搬』をテーマとした作品では、映像や音響・パフォーマンスを空間に取り入れる試みを映像作家や音楽家と共同で制作し、アニメーションも手がけるようになります。

平面・映像・音響・パフォーマンスが融合したインスタレーションでは、展示空間から時間軸と物質性をより強く感じることができます。

山本豊子にとって展示空間は仮設された『舞台美術』であり、空間を訪れた来客者たちを『物語』の時空へと巻き込んでいきます。

画廊翠巒主 梅津宏規

本展は「起源」の運搬をテーマとしています。
石鹸(soap)の語源は古代ローマのサポー(Sapo)の丘*1にあるといわれ、その丘にある土は汚れやけがれを洗い落とすことで知られることとなります。

展示する不思議な土が収められた6つの箱は、波止場から見知らぬ船に積み込まれ、方位のみが記された真っ白な地図に導かれ輸送されます。

未知の波止場に向け乱痴気騒ぎの乗組員達は箱の存在さえ知りません。
そして「起源」を載せた船は静かに出帆します。

今回は、展覧会場を船の貨物置場と仮定し、その中でひっそりと眠る6つの箱の存在と熟成中の石鹸表面に表出する運搬時間の痕跡を展示します。

山本豊子

*1:紀元前1000年頃、サポーの丘では羊を神々に捧げるという習慣がありました。火にあぶられた脂と灰が混じり合あった土塊は、丘のふもとに流れ込み、川の水に入り込むと泡が立った。これが石鹸の起源といわれています。
THE Lye-Luck on the Skin-Ship with Double Docks 2003
木、石鹸、発泡スチロール、包帯、ロウ紙、オイルステイン、ステンレス
40X49X76.5cm

 

山本豊子 Toyoko YAMAMOTO
1968 大分県に生まれる
1991 青山学院大学理工学部宇宙学科物理専攻卒業
1995 個展(由布院空想の森美術館/大分)
1998 個展「達磨屋と逃亡癖」(Gallery FLOORS/世田谷)
個展「寝床で水牛が膝をつく訳」(Gallery IDEA/南青山)
1999 個展「賽の胡桃」(ワークアウト/大分)
個展「賽のすくみ」(Gallery FLOOR2)
「Something’99」(ギャラリー伝+FLOOR2/東京)
演劇公演「時々自動的思考」(枕木美術/東京)
2000 「VOCA展 2000現代美術の展望―新しい平面の作家達」(上野の森美術展)
個展「天秤の山羊は巡る」(Gallery IDEA/南青山)
個展「シダ胞子の洋灰」(アートスペース獏・福岡)
2001 個展「CONTENT CONTES」(麻布霞町画廊/麻布)
個展「CONTIN,CONTENT」(アトリエ・ジム/東京)
「脱プン主義。」(ギャラリーIDEA/南青山)
「ワークアウト」(大分)
2002 「第2回現代版画の表現展―モノクロによる表現展」(画廊翠巒/前橋)
個展「DICEY FOOTS」(現代HEIGHTS/Gallery Den/東京)
2003 個展「FRaCTUS TRaCES」(ART SPACE 獏&ギャラリーマップ/福岡)
2004 個展「起源の運搬」(ギャラリー覚/銀座&画廊翠巒/前橋)
現 在 東京在住

>>>画廊翠巒TOP
Copyright © 2004 SUIRAN. All rights reserved.