群馬県/フランス美大留学予備校・芸大受験・美大受験・子どもから社会人の為の美術学校・画廊/すいらん



2012年画廊企画PART3
廣澤 仁 展
- Aftermath -



「楽園」
145.5×112cm シルクスクリーン、パネル ed.3 2012


2012年4月14日[土]ー22日[日]
am10:30-pm7:00 (火曜休廊)


この度、2年ぶり2回目となる廣澤仁による個展を開催致します。
本展では、近年積極的に制作に取り入れている銀箔貼り、金箔貼りの支持体に制作された作品を中心にご高覧頂きます。特にこの度の発表では、古い屏風を支持体とし、その屏風が今日のアートの表現や手法により新しい命が宿り、独特の生命感を持つ作品となっています。
今回の個展について、作家からは以下のようなコメントが届いています。


展覧会の「余波(アフターマス)」というタイトルは、先の震災の津波のイメージがまず念頭にありますが、一方、思考や意識などは一度目のひらめき(第一波)より時間を経た後に再び浮上してくる方がその強度、深さにおいてより射程が遠くまで及ぶのではないかと考えています。例えば、本を読むとき、その時には理解できなかった思考、枠組が、再読する時には当初読み飛ばしていた言葉が前景化してきたおかげでその輪郭を掴める、あるいは別の相貌があることを知るように。実際、十代の頃傾倒していた社会的なメッセージ性のある作家(ベンシャーンやフィリップガストン、中村宏など)が、20代になると少し興味が変わって距離を置いていたのに、 近年(震災後)、違った意味を持って私に訴えかけてくることになりました。また、版画はダイレクトに画面に描くのではなく、距離、時間をおいてイメージが立ち上がってきます。むしろ、その遅れ(一度深層に沈み再び浮かび上がる)の中で生と死を深層まで照らしだせるのではないでしょうか。作品は以前から使用していた金、銀をベースにしていますが、もう少し具体的なイメージを喚起しやすい、水の中で物を探している人物や遊戯にふける少女のような人物の場面等を描いています。それらは皆、匿名的な死者のようで、中古屏風(役目を終えている)に刷ることで似て非なる生を生きなおすことになっています。今回の展示は、東京→山口→群馬→福岡と同じ作品で異なる構成での展示になることからも行ったり来たりの波の中で版画の持っている社会的な側面(等閑されていたメディアとしての版画)を再考する契機となっています。
廣澤 仁
>プロフィール


「泉」(二曲一双) 158×137cmx2 シルクスクリーン、中古屏風


「明星」 106×276cm シルクスクリーン、中古屏風 ed.1 2012